見出し画像

責任割合ゼロの事故、自分で損害保険会社と示談交渉するときに気をつけたいこと

ソニー損保の損害サービス部門のスタッフにあてて、お客さまからこんな声が寄せられました。

【お客さまの声】

元旦の事故にもかかわらず、速やかに対応いただきました。また、的確なアドバイスが大変助かりました。事故後についても、いろいろお話しをいただき、ありがとうございました。プロの仕事だと感じました。

この声をいただいた損害サービス部門のIさんに、普段の対応や心がけていることについて聞きました。

例外や注意点を漏れなく伝える 示談に向けて細やかなサポート 

損害サービス部門 K.I
2007年7月にソニー損保に入社。人身事故や物損事故などの対応業務を経て、
現在は、お客さまに損害賠償責任が発生しない事故に特化した業務にあたる。

今回のエピソードをIさんはよく覚えていました。

60代の男性のお客さまが、運転中に追突された事故でした。助手席には奧さまも乗っていて2人とも腰と腕のしびれや痛みがありました。

今回のように、お客さまにまったく責任のない「もらい事故」の場合は、お客さま自身が相手方の損害保険会社と示談交渉する必要があります。

「『ソニー損保さんが交渉してくれるのではないのですか』とよく驚かれるのですが、このような場合は法律上、保険会社は示談交渉ができません。当社に限らず一般的にどの保険会社でも共通です。だからこそ、お客さまには今後の流れとポイントを細かく説明し、万全のサポートをします」

Iさんは、事故対応の一般的な流れを説明したうえで、例外もあることを必ず伝えるようにしています。

例えば車の修理の場合、相手方の保険会社が鑑定して、修理費用が決まります。修理費用は相手方の損害保険会社から支払われますが、車の時価額よりも修理費用が大きい場合は、支払われる保険金で修理費用の全額を賄えない場合があるということを伝えるようにしているそうです。

また、車の価値が修理によって下がってしまう「評価損」も大事なポイントです。十分な修理がなされた場合でも、修理後の車両価格が事故前の価格を下回る場合があります。

相手方の損害保険会社で評価損が認められなかった場合は、裁判になるケースもあるため、Iさんは裁判例では新車に近い状態で、かつ車の骨格部分などに大きな損傷を受けた場合は認められやすいことなどを伝えます。

「お客さまにとって決していいお話ばかりではありません。でも、相手方の損害保険会社から伝えられるよりも、私から事前にワンクッション入れて説明しておいたほうがお客さまも受け入れやすいのではないかと考え、そのようにしています。例外のケースに直面した場合も慌てずに対応できますから」

また今回お客さまはケガをしましたが、通院に関する注意点はあるのでしょうか。

「治療が終わった時点で、相手方の損害保険会社からケガの治療費、通院にかかった交通費、休業補償や慰謝料といった内容で示談金の提示があります。『提示後はご自身だけで判断されずに、よろしければ内容を教えてください』と伝えています。相場と比べて示談金額が高いのか低いのかや、弁護士特約を付けている場合、弁護士に交渉を委任することができる旨を案内することもできます」

「こうした情報を一度の説明で完全に理解する方はほとんどいらっしゃいません。私たち損害保険会社の社員も何度も研修して覚えたのですから。『何回でも聞いてくださいね』と繰り返しお伝えします」

法律の世界と、自動車保険の仕事の共通項

Iさんは予備校で働きながら司法試験に挑戦していたそうですが、縁があって2007年7月にソニー損保に入社しました。自動車保険の仕事は、法律の世界と通じるものがあるといいます。

ソニー損保に入社後5年間は人身事故や物損事故などの対応業務を経験。その後、お客さまに損害賠償責任が発生しない事故対応に特化した担当になりました。

「17年仕事を続けて思うことは、お客さまひとりひとりのご意向や感じ方は違うということです。不安で精神的につらい方、怒りの感情が強い方、事故を機会に自動車保険を学びたいという意欲のある方、それぞれに合ったアプローチをするように心がけています」

例えば、なかなか電話がつながらないお客さまには、メールや手紙でアプローチします。「相手方の損害保険会社から示談が提示されても、金額には交渉の余地があるのでアドバイスできますよ」とソニー損保としてできることを伝えます。

怒りの感情を持つ方には、まずお客さまのお話をしっかり受け止めるといいます。「最終的には『話を聞いてもらってよかった』と言ってくださる場合が多いので、その状態を目指します」

「アンケートに1,000点をつけたかった」

冒頭のエピソードとは別に、Iさんが印象に残った対応があります。

「お客さまが知人の軽トラックに乗り、地域の草刈りに行く途中のことでした。走行中の車両から落ち、右手の脱臼骨折や靭帯断裂といった大きなケガをしてしまったのです。お客さまによると、軽トラックの運転手の方が契約していた損害保険会社との交渉は思うように進まず、数ヵ月が経過してしまったそうです。悩んだ末にソニー損保に相談のお電話をいただきました」

Iさんは、お客さまが弁護士特約をつけていることに注目し、弁護士による交渉を提案しました。その結果、お客さまのケガには後遺障害が認められたのです。

「涙ぐんでくださり、『アンケートに1,000点の欄がないですよ。あれば絶対に1,000点をつけるのに』と言ってくださったんです。仕事を続けて良かったと感じた本当に嬉しい瞬間でした」

自動車保険の仕事にもつながる、セカンドキャリアを

Iさんが、オンオフ問わず心がけていることは「人にはそれぞれ考え方があるので、自分の考えを押しつけないようにする」ということ。プライベートでは、家族のことであっても、お子さま自身の考えを尊重するようにしているそうです。

今後のキャリアはどう描いているのでしょうか。「私の場合、セカンドキャリアになりますが、法律の世界にもう一度チャレンジしたいと考えています。法的なアドバイスができる弁護士になって、ソニー損保とつながっていければこれほど嬉しいことはありません」

最後にIさんにとって自動車保険とは何かを聞きました。

「お客さまにとって事故はかかわりたくないものだと思います。でも、誰でも万が一はあります。そうしたときに『ソニー損保に入っていてよかった』と思える、そうした対応を重ねていこうと思います」

まとめ

今回は損害サービス部門のIさんにお話を聞きました。
自動車保険についての豊富な知識と、ユーモアを兼ね備えた魅力的な人柄のIさん。インタビューでも落ち着いた語り口で、時折クスッと笑える冗談を交えてくれました。お客さまが「プロの仕事」と評価するのがよく分かりました。

今後も現場スタッフに関する記事をnoteに投稿していきますので、引続きよろしくお願いいたします。



上記内容は掲載当時のもので、現在と異なる場合がございます。